夏休みを終え、学校に幼児児童生徒が戻ってきて、早3週間、戸外は9月とは思えない暑さですが、建物内は冷房が効き、快適な空間になっています。本当に暑い日が続いているので、学院では暑さ指数等を測定しながら、熱中症対策を徹底して、運動をはじめとした戸外での活動を行っています。
先日、給食に、さや付きの枝豆が出ました。枝豆は食べたことはあっても、さやから豆を取り出した状態の枝豆しか知らないかもしれません。さや付きの枝豆は初めてかもしれません。慎重にさやごと口にし、豆だけ食べて殻を出す子ども、上手にさやから一粒ずつ豆を押し出して食べている子ども、さやごと口にし、食べようとした子ども…。 中には、「枝豆は大豆なんだ」と説明をする生徒もいました。「来年は、枝豆を育ててみようか」といった声も聞かれました。
視覚から得られる情報は全体の80%以上という中で、視覚に障がいのある子どもたちは、当然知っているであろうことが抜け落ちてしまうことがよくあります。それは、子どもたちの知識不足ではなく、「経験がないから知らない」というとらえ方して、日常生活や教育活動の中で、しっかりと経験を重ねていくことを大事にしなくてはいけないことです。たとえば、カットしてあるリンゴは知っていても、丸ごとのリンゴは触ったことがない、見たことがないといったこともありがちです。良かれと思って、先回りをしてしまうことが、子どもたちの大切な経験の機会を逃してしまうこともあることを改めて感じたさや付き枝豆の一コマでした。機会を提供くださった給食業者様には感謝申し上げます。
ただ経験させれば良いのではなく、子どもたちの興味関心も大事にしながら、その時にしかできないような経験が、子どもたちの感情を動かし、認識を育て、世界を拡げていくことにつながっていくことを見据えて機会を提供していきたいと思います。
9月11日
横浜訓盲学院 学院長 星 祐子